シーアールエム / カスタマリレーションシップ・マネジメント / 顧客関係管理

CRMとは、企業が情報システムを活用して顧客との長期的関係を築くことで、顧客満足度の向上、そして企業自身の収益力向上を目指す経営手法です。

具体的には、まず顧客から得た情報を元にデータベースを構築して属性購買履歴問い合わせ記録などの接触状況、通販サイトであれば商品ページの閲覧記録などを記録します。このデータを活用して、顧客の好みに沿った商品広告を送付したり、問い合わせがあった際には過去の購買記録を参照して適切な回答を素早く引き出したり、一方では顧客データ全体の傾向を分析して今後の市場動向を予測したりします。つまり、顧客へのより深い理解に基づき、ビジネスを展開しようというのが、CRMの基本的なコンセプトです。

商品やサービスを提供する企業が顧客との間に、長期的・継続的で「親密な信頼関係」(リレーションシップ)を構築し、その価値と効果を最大化することで、顧客のベネフィットと企業のプロフィットを向上させることを目指す総合的な経営手法のこと。

CRMは時代に応じて、さまざまな形で説明されてきた。

■概念上のCRM

CRMというコンセプトを説明する際、よく“街のお店屋さん”の例が持ち出される。近所の(理想的な)八百屋・魚屋、酒屋などが顧客の好みや状態をきちんと把握し、状況に合わせて気を利かせてくれるように、企業も顧客の好みやニーズを正確に把握・理解し、それに応じて的確な商品・サービス提供を行う、というものだ。ここには親切心やホスピタリティの発想はあるが、後述のマーケティング(顧客を操作する)という視点はない。接客としてのCRMといえるかもしれない。

■顧客個別対応、信頼の醸成

CRMが騒がれ始めた1990年代後半には「顧客ごとに異なる好みやニーズに合わせて、それぞれ別々の商品やサービス、情報の提供を行うことで、顧客満足を高め、カスタマ・ロイヤリティを最大化し、顧客拡大および顧客維持を図る」という“個別対応の高度化”という面が強調された。これには「One to Oneマーケティング」「パーミッション・マーケティング」などのコンセプトが影響していると考えられる。ITソリューションとしては、Webサイトにおける「レコメンデーション」「パーソナライズ」などが挙げられる。

またこのころ、CTI(computer telephony integration)による「コールセンターソリューション」が“CRMシステム”として多くの企業に導入された。CTIというテクノロジはそれ以前からあったが、CRMの装いによって新たに受け入れられたのである。「CTI+顧客データベース」というシステムによって、コールセンターへ着信があると同時にオペレータ席のコンピュータ画面に顧客データが自動的に表示され(スクリーン・ポップアップ)、顧客はいちいち名前や住所、過去の購入履歴などを尋ねられることなく、的確な対応を受けることが可能となる。これも顧客満足向上とコールセンター・オペレーションの効率化が狙いとなる。

■顧客分析、顧客育成

続いて、“すべての顧客”に対する顧客満足向上促進は効率的ではないという反省から、“優良顧客の差別化”としてのCRMが登場する。これは、顧客データベースを分析して優良顧客を分析・抽出したり、キャンペーンなどを通じて潜在的な優良顧客を優良顧客に育てるといったマーケティング的視点が強い。

マーケティング的CRMは“顧客囲い込み”の発想が強く、「優良顧客が誰だか分からない」「新規顧客の中で優良顧客になり得る人が分からない」という、マスマーケティング的プロモーションが必要な初期状態から段階を踏んで顧客を分析・セグメントして優良顧客を選り分け、それを維持することでLTVの最大化を図るというものだ。「データベース・マーケティング」「リレーションシップ・マーケティング」などの影響がある手法だといえるだろう。ITソリューションとしては、「ビジネス・インテリジェンス」「データマイニング」などが関係する。

ここではCRMの「R=リレーションシップ」は、企業と顧客の“情緒的な信頼関係”というよりは、“相互にベネフィットを認め合う合理的な関係”ととらえられる。

■顧客チャネル統合

CRMを“セールス、マーケティング、カスタマサービスなど顧客にかかわりのある部門間で情報を共有し、チグハグな顧客対応を避け、シームレスで効果的な顧客アプローチを目指すこと”と説明される場合もある。これはセールス支援に限定されていたSFAを顧客対応プロセス全体に広げたものといえるかもしれない。「コンカレント・マーケティング」の考えに由来するともいわれる。ここでは「顧客との関係をマネジメント」するのではなく、「顧客との関係を中心に自社のプロセスをマネジメントする」というニュアンスになっており、顧客中心のナレッジマネジメントともいえるだろう。

さらに、CRMを“顧客からの要望やクレームを商品企画や設計、生産計画にまで生かす”というコンセプトにまで拡張する向きもある。すなわち、SCMやコンカレントエンジニアリングに接続されるフロントシステムとしての位置付けである。ここでは顧客や市場からのさまざまな情報を取り込み、その情報を分析・利用するための経営戦略システムの一部であり、顧客起点経営を出発点となる仕組みを指している。

CRMの実行を支えるITソリューションは、“顧客データベースの整備”が核心となる。このデータベースによってフロントオフィス部門における情報共有を図り、迅速で適切な顧客対応を目指すCRMシステムを「オペレーショナルCRM」、優良顧客の洗い出しや育成を行うCRMシステムを「アナリティカルCRM」と分類される。

なお、2000年代後半になると「CRMは死んだ」といった言説が登場するようになり、CRMのアンチテーゼとしてCMRが取りざたされている。

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